日頃、お客様から寄せられるスチールハウスについての質問をここで解説いたします。
★スチールハウスとは何なのか?
・・・なかなか聞きなれない工法だと思います。
正式名称は「薄板軽量形鋼造」といいます。長くて、お堅い名前ですね(笑)この長い名称では、なかなか社会に浸透しないということで、この工法を世に出した方々は「スチールハウス」という愛称をつけたそうです。
スチールハウスは「S(鉄骨)造」です。鉄骨造の中には
■重量鉄骨造
■軽量鉄骨造
■薄板軽量形鋼造(スチールハウス)
と3つのカテゴリーがありますが、その違いは使う部材の"厚さ"にあります。
スチールハウスには、最も薄い1.0mm前後の厚さの鉄板を加工したものを用います。
★そんなに薄い鉄板で大丈夫なのか?
・・・もちろんペラペラの薄板をそのまま使えば、非常に弱い工法になってしまいます。
薄板で作った長方形の柱材に、上方向から大きな力を加えれば、すぐにねじれたり、横にひん曲がったりしてしまいます。
この弱点を補うために、スチールハウスでは木造の2x4工法と同じように柱材の両側を、合板(ベニヤの強いやつ)と石膏ボードで固めるのです。こうすることにより、非常に強固なハコ型構造体を作り出します。
★なぜスチールハウス?他の鉄骨造じゃだめなの?
・・・スチールハウスの特徴は、薄い板を用いることにあります。
その最大の利点は「軽さ」にあるのです。
現在日本の建築基準法では、一定の地震力に対して建物が倒壊しないように計算で証明しなければなりません。
その計算式は非常に複雑ですが、建物の自重が大きな要素となります。
ようするに、同じ形状で同じ大きさの建物があるなら、自重の軽い建物のほうが地震に対して圧倒的に倒壊の危険性が低いのです。
スチールハウスの自重は、木造の自重とほぼ同等です。
また他の鉄骨造にくらべて鉄の使用量が少ないためコスト面でも非常に有利です。
余談ですが・・・建物の構造計算を行うのに用いる係数の一つに「せん断力係数」というものがあります。
通常の木造で行う構造計算では「0.2(※1)」という係数を用いますが、鉄骨造の計算では「0.3(※2)」を用います。
よくスチールハウスを紹介する資料等に「木造の1.5倍の強さ!」と書かれている根拠はここにあります。
スチールハウスは木造と同等の重さの建物ですが、構造計算の手法は非常に重い、鉄骨造に近い構造計算の手法で行います。
※1 耐震等級を3にすれば同等の計算が可能です
※2 ルート1の場合です
★実際どんな建物が建てれるの?
・・・現行の建築基準法では3階建てまで施工が可能です。防火性能に関しましても、60分準耐火構造の認定を取得しています。スチールハウスの主戦場は「一戸建て」、「低層系集合住宅」、「店舗」等になります。
★プランニングに制限はあるの?
・・・ハウスメーカーさんの認定工法は、事細かなルールづけにより認定を取得したものが多いため、プランニングに大きな制約がつきます。
その点スチールハウスは、一棟づつ構造計算を行うため基本的には自由設計です。
ですが、多少の構造ルールを設けているため、通常の木造軸組み工法と比べると、やや自由度は落ちます。
★大空間のリビングが作りたいんですけど
・・・最上階にリビングがある場合はトラスを用いれば状況によっては9mくらいスパンを飛ばすことも可能です。ですがリビングの上階に部屋が来る場合等は通常の木造と同じように4~5mあたりが限界です。
このあたりは、重量鉄骨やRC造に分がありますね。
★窓をたくさん作れますか?
・・・重量鉄骨やRC造では、ラーメン構造といって柱と梁で、構造耐力を負担させますが、スチールハウスや木造は耐震壁といって、窓のない壁で地震や風に対抗します。
特に最下階では、多くの耐震壁が必要となるため、開口部の制限を受けます。
★でも鉄の家って寒そうじゃない?
・・・確かに「ヒートブリッジ(熱橋)」という言葉があるように鉄は熱を伝えやすい材料です。スチールハウではこの弱点を補うために「外張断熱」を標準で採用しています。
以前に某ハウスメーカーのCMで「うちって外張?」と言っていたあれです(笑)通常の内断熱では、構造材の部屋側に断熱材を入れますが、外張断熱は屋外側に断熱材を入れます。
このように建物をすっぽり断熱材でくるみますので、鉄部分が外気に触れることは一切ありません。
また外張断熱の最大のメリットは「結露」に対するリスクが少ないことにあります。
詳しい説明は割愛しますが、「結露」は断熱材の外側でおこります。
つまり内断熱の場合は構造材の中で「結露」が発生するリスクがあるのです。その点、外張断熱では、もし結露が発生しても構造材の外側にある断熱材のさらに外側でおこるため、構造材を腐らせたりする心配はありません。
現在スチールハウスでは、フラット35Sエコに対応する、省エネルギー対策等級4まで対応可能です。
★で・・・お値段のほうは?
・・・私の経験則ですが、木造を1とするとスチールハウスは1.2倍くらいになります。重量鉄骨、RCと比べると圧倒的に安いのですが、やはり木造よりは割高になります。このあたりが今後の課題ではないでしょうか。